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実践アイデア|デジタル・シティズンシップ

教室の中だけで動く「LINEみたいなやつ」をつくる

作:外﨑顯博 / 小学校 / 対象:小4〜中学の学級 / 使うもの:Googleスプレッドシート・GAS・Gemini(先生用) / 費用:無料

SNSの練習は、失敗しても大丈夫な場所で。 教室の中だけで動くチャットなら、やりとりはぜんぶ先生に見えています。 💬 4年1組 グループ あしたの係活動、たのしみ! 🎉🎉🎉🎉🎉 ⚠「???」さんがグループに入りました そのまま 📋 先生のスプレッドシート(ログ) 10:12 はると  あしたの係活動、たのしみ! 10:12 みお   🎉🎉🎉🎉🎉 10:14 ???  こんにちは。きみの学校、どこ? ▶ 1件のこらず記録。消しても、ここには残る
チャット画面のやりとりは、そのまま先生のスプレッドシートに残ります。子どもの画面から消しても、記録は消えません。この「消えない」こと自体が教材です。

「クラスの中だけで動く、LINEみたいなチャットがあったら、SNSの練習が教室でできるのに」。この記事は、そんな教材を先生の手でつくるためのアイデアの紹介です。元は、北九州の知り合いの先生の実践。いいなと思ったので、作り方をプロンプトの形にして、おすそ分けします。

なんで「チャットの教材」が要るの?

SNSのやりとりで起きるすれちがいは、たいてい学校の外、放課後のスマホの中で起きます。でも、本物のSNSを授業で使って練習するわけにはいきません。それで情報モラルの授業は「動画を見て、話し合う」が中心になりがちで、子どもが実際に指を動かして、失敗してみるところまではなかなかいけません。

スタンプを何十連発もされたらどんな気持ちになるか。知らないアカウントに話しかけられたら、何と返すか。これは、読んで知るより、一度体験したほうが早い学びだと思っています。

だから「教室の中だけで動く、閉じたチャット」です。失敗しても大丈夫な場所で、先に失敗しておく練習です。

しくみはシンプル。そして、ぜんぶ先生に見えている

正体は、Googleスプレッドシートにつないだ GAS(Google Apps Script)のWebアプリ1本です。子どもはブラウザでチャット風の画面を開くだけ。

学校のGoogleアカウントでそのまま使えて、追加費用は0円。無料のEducation Fundamentalsの範囲で動きます。

  1. 発言は1件のこらずシートに記録。子どもの画面から消えても、先生のシートには残ります。「送った言葉は消えない」を、説教ではなく体験として学べます
  2. なりすましができない。名前は学校アカウントから自動で表示。名簿にないアカウントは入れません
  3. 記録は職員で共有できる。学年でも生徒指導でも、同じログを見ながら話せます。保護者に説明するときも、記録がある強さは大きいです

Geminiの出番は先生側だけにしています。授業シナリオづくり、「知らない人」役のセリフ案、あとで出てくるふりかえりの分析。

子どもにGeminiを触らせない設計にしておくと、自治体ごとのAI利用の設定に左右されません。

はじめる前に:管理職・情報担当の先生に一言相談してから始めてください。この教材は「記録が全部残っていて、いつでも見せられる」つくりなので、説明はしやすいはずです。GASのWebアプリ公開を制限している自治体もあるので、そこも情報担当さんと確認を。

授業でできる体験(例を3つ)

🎉 スタンプ連打

楽しい話題で盛り上がったところで、スタンプが何十連発。うれしい? うるさい? 同じ画面を見ていても感じ方がちがうことを、その場で話し合います。

🕵️ 知らない人が入ってきた

チャットに「???」というアカウントが現れて、少しずつ聞いてきます。「きみの学校、どこ?」。正体は先生です。どこまで答えていいか、どう断るか、誰に相談するかを、教室で練習します。

💬 文字だけのすれちがい

「いいよ」の一言が、OKにも「もういい」にも読めます。短い文字のやりとりで誤解が生まれる体験をしてから、ふりかえります。

道具がなくても、あした15分でできる

「ツールを作るのはハードルが高い」という方へ。この授業の核は「チャットで起きることを、教室の中で再現して話し合う」なので、道具なしでも始められます。

大型テレビに Classroom のコメント欄やスライドを映して、先生が「???」役を演じる。紙の吹き出しカードで「これ、送っていい?」を判断させる。それだけでも1時間の授業になります。

まずはそこから。「もっと本物らしくやりたい」となったら、次のプロンプトの出番です。

作ってみたい人へ(コピーして使うプロンプト)

私はこういう道具を作るとき、AIに作らせるためのプロンプトを残しておくことにしています。よかったら使ってください。Geminiに貼って動きます(ClaudeやChatGPTでも大丈夫です)。

プロンプト① ツール本体をAIに作らせる
あなたは、学校のGoogle Workspace(無料のEducation Fundamentals)で動く教材ツールを作る、GASの専門家です。
小学校のデジタル・シティズンシップの授業で使う「教室の中だけで動くチャット教材」を作ってください。

# 作りたいもの
- Googleスプレッドシートにつないだ、GASのWebアプリ(doGet + index.html)
- 見た目はスマホのチャットアプリ風(吹き出し・自分は右・他の人は左・下に入力欄とスタンプボタン)
- 学校のChromebookやタブレットのブラウザで使う。対象は[小学4年生]の[30]人学級

# しくみの条件(安全のためのきまり。ここは変えない)
1. シートは2枚。「名簿」(A:メールアドレス B:表示名 C:役割 child/teacher)と「ログ」(A:日時 B:メールアドレス C:表示名 D:本文 E:種別 msg/stamp/system)
2. Session.getActiveUser().getEmail() を名簿と照合し、名簿にない人には「参加できません」画面を出す
3. 表示名は名簿から自動で表示する。子どもが自分では変えられないようにする(なりすまし防止)
4. 発言・スタンプはすべて「ログ」シートに追記する。削除機能は作らない(授業のふりかえりに使うため)
5. 子どもの画面:メッセージ送信/スタンプ(絵文字5種)/5秒ごとの自動更新(google.script.runで取得)
6. 役割teacherだけの機能:①表示名を自由に変えて投稿できる(「???」など、授業シナリオの登場人物を演じるため)②画面の表示を「授業開始前」に切り替えるスイッチ(ログは消さない)
7. 外部ライブラリ・外部への通信は使わない。Workspaceの中だけで完結させる

# 出力形式
- Code.gs と index.html を分けて、コピーできるコードブロックで出す
- 続けて「設置手順」を、GASを初めて使う先生向けに番号つきで(シート作成→Apps Script→デプロイ→「次のユーザーとして実行:自分」「アクセスできるユーザー:[学校のドメイン]内の全員」の設定まで)
- 最後に「授業前チェックリスト」を5項目で
プロンプト② 授業シナリオをつくる
あなたは小学校の授業づくりを手伝う、デジタル・シティズンシップにくわしい先生役です。
教室の中だけで動くチャット教材を使って、[小学4年生]に「知らない人がグループに入ってきたとき、どうするか」を考えさせる授業を作ります。

# 手伝ってほしいこと
1. 45分の授業の流れ(導入→チャット体験→話し合い→ふりかえり)
2. 私(先生)が「???」という知らない人を演じるときのセリフ案を、段階つきで
   - 最初はあいさつ → 少しずつ「学校名」「習いごと」「写真」を聞き出そうとする流れ
   - 子どもがつい答えてしまいそうな、自然な聞き方にする
3. 体験のあとに子どもに出す「ふりかえりの問い」を3つ
4. 「教えていいこと・いけないこと」を子どもの言葉でまとめる板書案

# 条件
- 怖がらせて終わらせない。「断り方」と「相談のしかた」の練習まで入れる
- 学級の実態:[おだやかだが、ノリで反応しがち]
プロンプト③ ログでふりかえる(名前の列は消してから)
これは、授業で使った教室内チャットの記録です。名前とメールアドレスの列は消してあります。
このやりとりを読んで、次の3つを行番号つきで指摘してください。
①言葉が強くなった場面 ②誤解が生まれた場面 ③よい断り方・よい声かけができた場面
最後に、子どもに見せる用の「今日のやりとりから学べること」を3つ、やさしい言葉で作ってください。

[ここに、名前列を消したログを貼る]
コツ:一度で完璧なものは出ません。動かないときは、エラー文をそのままAIに貼って「直して」と言うのがいちばん速いです。できあがったら、子どもに開く前に先生どうし(自分のもう1台の端末でも可)でテストを。動くかどうかの最終確認は、それぞれの学校の環境でお願いします。

はじめる前の約束(そのまま職員室で話せる形)

元になった実践のこと

冒頭に書いたとおり、この考え方は、北九州の知り合いの先生が実践されていたことを元にしています。私のゼロからのアイデアではありません。

その先生の実践を知ったとき、いちばん心に残ったのは、道具そのものより「教室に必要な道具を、先生が自分の手でつくって、目の前の子どもに合わせて使っている」ことでした。ああ、必要な道具は自分たちでつくるんだな、と改めて感じました。

いまはAIがあるので、その入り口はずいぶん低くなっています。この記事のプロンプトが、その入り口になればうれしいです。

教室の中だけで動くLINEみたいなやつ:チャット画面例と、ぜんぶ先生に見えるしくみ、授業でできる3つの体験をまとめた図解
1枚まとめの図解です。校内での紹介などに、保存してお使いください。
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