なぜ「一つの花」なんだろう?
小4国語「一つの花」(今西祐行)の授業を、全国の先行事例から考えます。これは"正解の指導案"ではありません。「こう考えたら面白いかも」を集めた、授業づくりのヒント集です。
ここに並べた導入や手立ては、全国の先生・研究会・教育委員会が積み上げてこられた実践から学んだものです。参考にした実践には、本文中と末尾に必ず出典と元サイトへのリンクを付けました。指導案の文章はそのまま写していません。作品「一つの花」の本文は転載していません(お手元の教科書でお読みください)。敬意を込めて、リンクから原典にあたっていただけたら嬉しいです。
4年生の「一つの花」。戦争のころと、その十年後を描いた物語です。この作品のいちばんの入口は、題名です。「なぜ"一つの花"なんだろう?」——読み終えた子が、もう一度この問いに戻ってくると、物語がぐっと深くなります。そしてその答えは、戦中と戦後の「場面の対比」の中に、そっと置かれています。
この記事は、全国の指導案や実践をもとに、「面白い導入」と「対比を手がかりに主題へ迫る手立て」を並べたものです。どれが正解、という話ではありません。気になったものをつまんでもらえたらと思います。
01この単元の勘どころ
この物語は、行あきで大きく2つ(戦中と戦後)に分かれ、いたるところが対比で書かれています。一輪のコスモス ↔ いっぱいのコスモス、お父さんがいる ↔ いない、幼いゆみ子 ↔ 大きくなったゆみ子、静かな見送り ↔ にぎやかな駅。この「変わったもの」と「変わらないもの」を子どもが見つけていくと、最後に題名の意味と、父がゆみ子に一輪の花を渡した思いに、自然にたどり着きます。
02面白い導入くらべ
導入のねらいは、物語を貫く問いを子どもの中に立てることです。先行事例を型別に並べました。◎は個人的に「これは効く」と感じたものです。
タイプ1|題名で問いを立てる
| おすすめ | 導入ネタ | 面白さのツボ | 出典 |
|---|---|---|---|
| ◎ | 「一つの花」って、何の花? | 読む前に題名だけ見せて予想させる。読後に「なぜ"一つ"なのか」に戻る。問いを最初に立て、最後に回収するので、単元が一本につながる。 | EDUPEDIAほか |
| ○ | 「一つだけ」を数える | 戦中の場面に何度も出てくる「一つだけ」。戦後の場面では…? 回数の変化に自分で気づく。 | 各実践 |
タイプ2|対比で「あれ?」を作る
| おすすめ | 導入ネタ | 面白さのツボ | 出典 |
|---|---|---|---|
| ◎ | 1場面と3場面を並べる | 戦中と戦後の場面を並べて「何が変わった? 変わらないものは?」。一輪 ↔ いっぱいの花の対比に子どもが気づく。深い読みの土台。 | 各校 指導案/授業研究ノート |
| ○ | 見送りの場面をくらべる | 他の家族のにぎやかな見送りと、ゆみ子の家族の静かな見送り。同じ駅なのにこの差、なぜ? | 各実践 |
タイプ3|作者・時代から入る
- 作者 今西祐行と時代背景。戦争のころの暮らし(食べ物がない・お父さんが戦争に行く)を軽くおさえてから読むと、ゆみ子の「一つだけ」が切実に響く。おさえすぎず、読みの邪魔をしない程度に。
03対比を「見える化」する手立て
- 対比表をつくる。「食べ物」「音」「花」「お父さん」「ゆみ子」などの観点で、戦中と戦後を1枚の表に。違いと、変わらないもの(親の愛)が見える。(下のワークシート)
- 「一つだけ」の回数を数える。戦中に何度も出て、戦後には出てこない。この事実に子どもが気づくと、題名の意味が動き出す。
- 会話文から気持ちを読む。両親の短い言葉から、ゆみ子への思いを想像する。行間を読む練習に。
- 「花」は何の象徴かを問う。食べ物がなく「一つだけ」の世界で、父が渡した一輪の花。花に込めた思い(平和・ゆみ子の幸せ)を、根拠をもって語らせる。
04深く読む仕掛け
- 「変わったもの」と「変わらないもの」を分ける。まちや暮らしは変わった(花がいっぱい)。でも変わらないものは?(親の愛・平和への願い)。
- 題名を、自分の言葉で説明し直す。「なぜ"一つの花"なのか」を、対比表を根拠に書く。
- もし題名が「たくさんの花」だったら?と揺さぶる。「一つ」でなければならない理由を考える。
変わったのは、花の数。変わらないのは、その花にこめた思い。だから、「一つ」の花。子どもの読みが向かう先の一例
05広げる・つなぐ
- 作者 今西祐行の他の作品(「ヒロシマの歌」など)へ。戦争と平和を描いた読み物の並行読書。
- 「変わること・変わらないこと」を、自分の身のまわりで見つけて書く。
- 平和について考える学習(他教科・行事)とゆるやかにつなぐ。おさえつけず、余韻を大切に。
06「こう考えたら面白いかも」1時間プラン例
戦中と戦後の場面を比べ、題名「一つの花」の意味と、父の思いに迫る1時間に組んでみました。これが正解ではありません。
5分
15分
13分
9分
3分
敬意を込めて。指導案・作品の本文は転載せず、要約と自分の言葉でまとめました。くわしくは各リンクから原典にあたってください。
(各サイトの内容・リンクは執筆時点のものです。リンク切れの際はご容赦ください。)
学習指導案(教育委員会・学校)
- 小田原市立三の丸小学校 第4学年 国語科学習指導案「比べて読もう 一つの花」|資料 ↗
- 小平市立小平第二小学校 第4学年 国語科学習指導案「一つの花」|PDF ↗
- 川崎市立田島小学校 第4学年 国語科学習指導案「一つの花」|PDF ↗
- 世田谷区立烏山小学校 第4学年 国語科学習指導案「一つの花」|資料 ↗
授業アイデア・教材研究
この記事は、全国の指導案・授業アイデアをもとに、School Stock が要約・再構成しました。図はすべて自作です。作品「一つの花」(今西祐行)の本文・図版は転載していません。授業では、お手元の教科書の本文をお使いください。児童・学校の内部情報は含んでいません。