SCHOOL STOCK | 教材研究ノート
← 記事にもどる 本時案(金属の実験の時間)
飯塚市小学校理科研究会 令和8年度 研究授業

第4学年1組 理科学習指導案

令和8年12月4日(金) 第5校時 理科室
指導者 外﨑 顯博
研究主題
解決したい問題を見いだし、科学的に追究する児童が育つ理科学習指導
-既有知識をゆさぶる事象提示と追究の連続性を生む単元構成を通して-

1 単元

「物の体積と温度」(東京書籍 第4学年 全7時間)
学習指導要領 第4学年 A(2)ア(ア)、イ

2 単元について

教材観

本単元は「粒子」を柱とする領域に位置づく。第4学年で重視する「関係付け」を、体積の変化と温度の変化との間で働かせる単元である。第3学年「物と重さ」、本学年前半の「空気と水の性質」が土台となり、次単元「物のあたたまり方」へつながる。

指導は空気→水→金属の順で進む。変化が見やすいものから、見えにくいものへという配列である。空気は膜がふくらみ、水は水面が動く。金属は「輪を通らなくなる」ことは分かっても、ふくらみそのものは目に見えない。

この見えなさが本単元の山場である。児童は「かたい金属が変わるはずがない」と考えている。一方で、線路のつなぎ目のすき間や、夏に曲がったレールという事実が生活の中にある。この二つのズレが、児童自身の問いを生む。

児童観

本学級は32名(男子17名・女子15名)である。観察や実験には意欲的に取り組むが、〔記録・考察の実態〕という課題がある。

単元に入る前に、次の事前調査を行った。

①で「変わらない」を選んだ児童の理由は「かたいから」が多い。金属は形の変わらない物だという既有知識をもっている。一方、空気と水の学習を終えた後には「空気と同じで増えるのでは」と既習とつなぐ児童も出てきた。この予想が割れた状態を、本時の出発点とする。

※ 黄色の箇所は実施後に記入する。

指導観

着眼1について。各次の導入で、児童が思っていることと事実とがずれる場面をつくる。ねらいは興味づけではなく、児童自身の問いを生むことである。素朴な予想と、それが崩れた後に出た問いの両方を板書に残す。

着眼2について。問題解決の過程を空気・水・金属で三度まわす。各次の結論の直後に「ちがう物でも成り立つのか」を置き、それを次の次の問題とする。同じ型を繰り返すことで、再現性を吟味する態度を育てる。

本時は三周目の入り口にあたる。実験は行わず、問題を見いだし、空気と水の結果や生活経験を根拠に予想を書くところまでとする。予想は「増える/変わらない/少しだけ増える」の三つに分けて板書し、理由を既習と生活経験で色分けして整理する。次時の実験の見通しをもたせて終わる。

3 単元の目標

知識及び技能:金属、水及び空気は、あたためたり冷やしたりすると体積が変わるが、その程度に違いがあることを理解している。器具を正しく扱いながら調べ、結果を分かりやすく記録している。
思考力、判断力、表現力等:体積と温度との関係について、既習の内容や生活経験を基に、根拠のある予想や仮説を発想し、表現している。実験の結果を基に考察し、表現している。
学びに向かう力、人間性等:事物・現象に進んで関わり、他者と関わりながら問題解決しようとしている。学んだことを学習や生活に生かそうとしている。

4 研究の着眼

【着眼1】 既有知識をゆさぶる事象提示

自然の事物・現象と既習の内容や生活経験とを関係付けて、根拠のある予想や仮説を発想する児童を育むために、以下のように事象提示を行う。

次ねらい事象提示
1次
空気
  • 「ふくらませるには息を入れるしかない」という考えをゆさぶる。
  • 手のあたたかさと関係付けて問いをつくらせる。
  • 試験管の口にせっけん水の膜を張り、手でにぎる。
(考え)息を入れないとふくらまない。 (問い)何も入れていないのに、なぜふくらんだ。
2次
水
  • 「空気と同じくらい上がるはず」という予想を先に言わせる。
  • 増えるかどうかだけでなく、増え方の大きさに目を向けさせる。
  • 空気と同じ器具で、中身を水に変えて調べる。水面はわずかしか上がらない。
(考え)水も空気と同じくらい増えるはずだ。 (問い)同じ増えるでも、増え方がちがうのはなぜだろう。
3次
金属
(本時)
  • 「かたい金属は変わらない」という考えを、生活の中の事実でゆさぶる。
  • 空気・水の結果と関係付けて予想させる。
  • 電車の走行音を聞かせる。→ 写真等を使って線路のつなぎ目のすき間を示す。→ 夏に曲がったレールの写真を示す。
(考え)金ぞくはかたいから、あたためても変わらない。 (問い)かたい金ぞくが曲がっている。金ぞくも体積が変わるのだろうか。
【着眼2】 追究の連続性を生む単元構成

問題解決の過程を三度まわし、前の次で導いた結論を、次の次の予想の根拠として使わせる。各次の終わりに出た問いを、そのまま次時の問題にする。

学習活動手立て
【1次・2次】 空気/水の体積と温度(第1〜5時)
自然事象への働きかけ
問題の把握設定
  • せっけん水の膜を手でにぎってふくらませる。
  • 気づきを出し合い、問題をつくる。
  • 一人一組の器具を用意し、全員に体験させる。
  • 温度と結び付ける発言を板書して問題化する。
予想・仮説の設定
  • 空気の体積を予想し、理由を書く。
  • 生活経験を根拠として出させる。
  • 理由を書く型を、単元の最初に確認する。
検証計画の立案
  • 湯と氷水で調べる方法を考える。
  • 空気の出入り口がないことを確認させる。
観察・実験
  • 空気の体積の変化を調べる。
  • 同じ器具で、水も調べる。
  • 結果を図と言葉で記録させる。
  • 空気と水の記録を並べて掲示する。
結果の整理・考察
結論の導出
  • 空気は増える、水も増えるが増え方は小さい、とまとめる。
  • 問い「では、かたい金ぞくでも増えるのだろうか」
  • 複数の班で同じ結果が出たことを確かめる。
  • 出た問いを黒板に残し、3次の問題とする。
【3次】 金ぞくの体積と温度(第6〜7時) ※第6時が本時
自然事象への働きかけ
問題の把握設定
  • 電車の音を聞き、つなぎ目のすき間と曲がったレールの写真を見る。
  • 問題 あたためると、金ぞくの体積はどうなるのだろうか。
  • 音→写真の順で提示し、生活の中の「なぜ」から入る。
  • 空気・水の結論の掲示を黒板の左に貼る。
予想・仮説の設定
  • 増える/変わらない/少しだけ増える の三つから選び、理由を書く。
  • グループで理由を伝え合い、根拠を確かめる。
  • 三つに分けて人数とともに板書し、予想が割れた状態を見せる。
  • 理由を「既習」と「生活」に分けて整理する。
  • 【思・判・表】根拠のある予想を書いている。(記述分析)
検証計画の立案
  • どうすれば確かめられるかを出し合う。
  • 球膨張実験器を見せ、次時の見通しをもたせる。
観察・実験
  • 球膨張実験器で調べる。(湯→炎→冷水)
  • 加熱器具の安全指導を行ってから実験する。
結果の整理・考察
結論の導出
  • 金ぞくも増える、増え方は空気>水>金ぞく、とまとめる。
  • 問い「その熱は、どこからどう伝わっていくのだろう」
  • 三つの結論を一枚の掲示にまとめる。
  • 出た問いを次単元「物のあたたまり方」につなぐ。

5 本時の学習(6/7)

(1) 日時

令和8年12月4日(金) 第5校時 理科室

(2) 主眼

線路のつなぎ目のすき間と、夏に曲がったレールの事象から、金属の体積と温度についての問題を見いだし、空気と水の学習や生活経験を根拠にして予想を書くことができる。

(3) 準備

(4) 展開

あたためると、金ぞくの体積はどうなるのだろうか。
過程学習活動指導上の留意点
つかむ
15分
  • 1 電車の音を聞き、線路のつなぎ目のすき間に気づく。
  • 2 夏に曲がったレールの写真を見る。
  • 3 問題をつくる。
  • かたいのに曲がっている。
  • 空気も水も増えたから、金ぞくも増えるのかな。
  • 音だけを先に聞かせ、そのあとに写真を示す。
  • 「かたい金ぞくが曲がる」というズレを全体で共有する。
  • 前時に出た「金ぞくでも増えるのか」の掲示を示し、つないで考えさせる。
予想する
15分
  • 4 三つから選び、理由をワークシートに書く。
  • ア 増える  イ 変わらない  ウ 少しだけ増える
  • 空気も水も増えたから、金ぞくも増えると思う。
  • 金ぞくはかたいから変わらないと思う。
  • まず三つから選ばせ、そのあとで理由を書かせる。
  • 空気・水の結果の掲示を、理由を書くときに使わせる。
  • 書けない児童には「どちらに近いか」を選ばせ、そこから理由を問う。
たしかめる
10分
  • 5 グループで理由を伝え合う。
  • 6 全体で理由を分けて整理する。
  • 水は少ししか増えなかったから、金ぞくはもっと少しだと思う。
  • 人数とともに三つに分けて板書し、予想が割れた状態を見せる。
  • 理由を「既習(青)」と「生活(赤)」に分けてはる。
  • 【思・判・表】既習の内容や生活経験を基に、根拠のある予想を書いている。(記述分析)
見通す
5分
  • 7 どうすれば確かめられるかを出し合う。
  • あたためて、大きさをはかればいい。
  • 球膨張実験器を提示し、次時に確かめることを伝える。
  • 予想の板書はそのまま残し、次時に結果と照らす。

(5) 板書計画

板書計画
問題あたためると、金ぞくの体積はどうなるのだろうか。 【写真:つなぎ目のすき間/曲がったレール】
これまで(左に掲示)空気 あたためると増える
水  増えるが、増え方は小さい
前時の問い 金ぞくでも増えるのか
予想ア 増える 〇人
イ 変わらない 〇人
ウ 少しだけ増える 〇人
理由(青=これまでの学習)空気も水も増えたから
水は少ししか増えなかったから
理由(赤=生活)レールが夏に曲がっていたから
金ぞくのふたはお湯で開くから
次の時間どうすれば確かめられるか → あたためて大きさをはかる(球膨張実験器)
この指導案について。 飯塚市小学校理科研究会 令和8年度研究構想(研究主題「解決したい問題を見いだし、科学的に追究する児童が育つ理科学習指導」、副主題「-既有知識をゆさぶる事象提示と追究の連続性を生む単元構成を通して-」)の様式と用語に合わせて書いたものです。単元の目標・評価規準は学習指導要領(第4学年 A(2))および東京書籍の年間指導計画に拠っています。
導入の「線路のつなぎ目」は大阪府教育センターの授業展開例に学びました。参考にした先行事例と出典は 教材研究ノートの記事 にまとめています。次の時間(金属の実験)の案は こちら。
黄色の箇所は、学級の実態を記入する欄です。
© School Stock(外﨑顯博 / 小学校)